ブッチョンギル(北村通り)
路地の紹介

水路に沿って形成された北村

その昔、北村には、北側の稜線から南側に広がる丘陵地に沿って幾つかの水路があった。 それらはソウルに欠かせない水路で、ジェッゴル、メンヒョンゴル、ジェセンウォンゴル、ウォンゴルという昔の地名からもわかるように、各村は水路と水路の間の稜線を境界にして細長く形成された。
キョンボックン(景福宮)の東の城壁にそって流れているチュンハッチョン(中学川)の左側には、サムチョンドン(三清洞)がある。

ブッチョンギル(北村通り)

また、その東側の小規模な2つの水路のしばにファドン(花洞)、アングッドン(安国洞)、ソンヒョンドン(松峴洞)がある。
カフェドン(嘉会洞)からウニョングン(雲峴宮)の前に流れるカフェドンの水路も水量が豊富な川だった。
カフェドンの水路とともにケドン(桂洞)の水路、ウォンソドン(苑西洞)の水路がある。ウォンソドンのシンソンウォンジョン(新璿源殿)に始まり、チャンドックンの垣根に沿って流れ、チャンドックンの内部を通ってワリョンドン(臥龍洞)に流れ込む水路もまた重要な水路の一つであった。
これらのブッチョン(北村)の水路は、人口の増加と都市の現代化などの影響で埋められ、現在は道路となっているが、水路の記憶はいまだに地名として残っている。

キョンボックンの東側の端にあるドンシッチャガク。サムチョンドンへの入り口で、現在は覆蓋工事により道が広くなっているが、以前は小川があった。

路地が持つ意味

ブッチョン(北村)のハノク(韓屋)の間に、まるで毛細血管のように張り巡らされている路地は、ハノクに住む人々の「日常生活」が伺える空間である。
ハノクでの生活の様子は、垣根の中のみならず、垣根の外の路地でも見ることができる。
路地は、洗濯物だけではなく穀物や唐辛子などを干したり、子供たちが遊んだりするもう一つの庭であり、隣人とのおしゃべりを楽しむところだ。また、村のお年寄りが交流する共有の空間でもある。
一方、ハノク村を訪問する人々にとっては、景観をソウル市民と共有できる場所だ。
各々のハノクは文化財に比べてその価値は多少劣るとはいえ、小規模なハノクが集まった路地の風景が持つ美しさは、ソウルの代表的な歴史的景観として高い価値を持っている。

あちらこちらで出会う昔の記憶、北村(ブッチョン)の路地

朝鮮時代の「ファギドガムト(火器都監址) 」と「ソン・サンムン(成三門)先生が住んでいたところ」という大理石の碑文二つを見て路地に入ると、ファドン(花洞)の路地が始まる。
川の支流のように絡み合った、まるで迷路のような路地は、すれ違う人の肩が触れそうなくらい狭いところもあれば、牛や馬が通れるほど広い部分もある。車が進入できないため、路地を行きかうのは人だけだ。この路地の風景は、現在では遠い記憶となった風景を思い起こさせてくれる。
路地と、傾いた階段の端に置いてある2つの素朴な植木鉢からは、ブッチョンの路地の情緒が伝わってくる。